景品表示法 確約手続 No.1表示への対応は、2026年時点で企業のリスク管理と経営判断に直結するテーマとなっています。2024年10月に導入された確約手続によって措置命令の件数は減少傾向にある一方、消費者庁による調査自体は継続しており、企業側の自主是正がこれまで以上に重視されています。本記事では、確約手続の仕組みとNo.1表示への影響を整理し、根拠資料の整備や第三者検証の実務的な進め方まで解説します。
確約手続とは何か、No.1表示にどう関わるのか
確約手続とは、事業者が自らの違反被疑行為を認め、是正措置を消費者庁に申請し認定を受けることで、措置命令や課徴金納付命令を受けずに手続を終了できる制度です。2024年10月の景品表示法改正で正式導入されました。この制度が生まれた背景には、行政と事業者双方の負担軽減という狙いがあります。措置命令は公表を伴い企業のレピュテーションに大きな影響を与えますが、確約手続では公表内容や手続の進め方が異なり、企業にとって選択肢が広がったといえます。ただし、確約手続は「違反を軽く済ませる抜け道」ではありません。是正計画の策定や実施状況の報告など、事業者側にも相応の負担が発生します。No.1表示に関しては、根拠のない「業界No.1」「顧客満足度No.1」といった表示が優良誤認表示に該当する疑いをかけられた場合、確約手続の対象となるケースが増えると見込まれています。措置命令の件数が減っても、消費者庁の監視や調査自体が緩んだわけではない点に注意が必要です。
措置命令の減少と自主是正の重要性が高まる理由
確約手続の導入以降、公表される措置命令の件数は減少傾向にありますが、これは事業者への監視が緩和されたことを意味しません。むしろ消費者庁は水面下での調査や事前相談、指導を積極的に行っており、事業者が自ら気づき是正する機会が増えたと捉えるべきです。この状況下で重要になるのが、行政から指摘を受ける前に自社のNo.1表示を点検し、根拠が不十分であれば表示を見直す「自主是正」の姿勢です。自主是正には次のようなメリットがあります。
- 行政指導や確約手続の対象になるリスクを事前に低減できる
- 是正対応にかかる時間的・人的コストを抑えられる
- 消費者や取引先からの信頼を維持しやすい
- 是正の判断基準を社内に蓄積し、再発防止につなげられる
特にマーケティング部門が主導してNo.1表示を打ち出している企業では、法務・広報部門との連携が不十分なまま表示が独り歩きしているケースも少なくありません。自主是正を機能させるには、表示を出す前段階でのチェック体制構築が欠かせません。
消費者庁が求めるNo.1表示の4要件
No.1表示が景品表示法上の優良誤認表示に該当しないためには、消費者庁の実態調査報告書が示す4つの要件を満たす調査設計が求められます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 比較対象 | 調査対象となる商品・サービスの範囲が明確で、恣意的な選別がないこと |
| 調査対象者 | 実際にその商品・サービスを利用した実利用者であり、イメージのみで回答していないこと |
| 調査方法 | 設問設計やサンプル抽出方法が客観的かつ再現性のある手法であること |
| 表示との対応 | 調査結果と実際の表示内容(No.1の範囲や期間など)が一致していること |
この4要件のうち、特に見落とされがちなのが「調査対象者」の要件です。利用経験を確認しないまま印象だけで回答させるイメージ調査は、No.1表示の根拠として認められにくく、行政指摘のリスクを高めます。実利用者を対象としたスクリーニング調査を行うことが、根拠あるNo.1表示の土台となります。
行政指導・確約手続リスクを踏まえた根拠資料の整備方法
措置命令だけでなく、行政指導や確約手続の対象となるリスクを見据えると、日頃からの根拠資料整備が経営判断として不可欠です。具体的には以下の手順が実務上有効です。
- 現在使用しているNo.1表示をすべて洗い出す
- 各表示の根拠となった調査データ・実施時期・調査主体を確認する
- 4要件(比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応)に照らして充足度を評価する
- 不足がある表示は、再調査または表示の修正・撤回を検討する
- 調査設計・実施・結果を第三者機関の記録として保管する
特に4は重要で、社内担当者だけで調査を実施すると、設問設計に恣意性が入りやすく、後から「調査対象者が実利用者でなかった」「比較対象が不明確だった」といった指摘を受けやすくなります。第三者検証機関による調査設計・実査・報告書作成を通じておくことで、行政からの照会があった際にも根拠を提示しやすくなります。
景品表示法 確約手続 No.1表示のリスクに備える組織体制
確約手続時代のNo.1表示対応は、マーケティング部門だけの課題ではなく、法務・広報を含めた全社的なリスク管理として位置づける必要があります。組織的な対応として、次のようなチェック体制の構築が推奨されます。
- No.1表示を新規に打ち出す前の社内承認フローの整備
- 年1回以上の既存No.1表示の棚卸しと根拠資料の再点検
- 調査設計段階から第三者機関を関与させ、恣意性を排除する
- 「日本初」「世界初」など先行性を訴求する表示についても裏付け調査を実施する
- 是正が必要と判断した表示は速やかに広告・販促物から削除する社内ルールを設ける
こうした体制を整えることで、確約手続や行政指導の対象になる前に自主是正を行い、企業としての信頼性を維持することができます。
まとめ
2024年10月の確約手続導入以降、措置命令の件数は減少していますが、消費者庁の調査自体は継続しており、企業には従来以上の自主是正意識が求められています。No.1表示を適法に成立させるには、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応という4要件を満たす調査設計が不可欠であり、イメージ調査ではなく実利用者を対象とした根拠ある調査を行うことが基本です。措置命令だけでなく確約手続や行政指導のリスクも見据え、事前の根拠資料整備と第三者検証を経営判断として組み込むことが、2026年以降のNo.1表示活用における実務上の要点といえます。
よくある質問(FAQ)
Q. 確約手続とNo.1表示にはどんな関係がありますか
A. 根拠が不十分なNo.1表示が優良誤認表示の疑いをかけられた場合、確約手続の対象となる可能性があります。措置命令を避けられる一方、是正計画の策定など事業者側の対応負担は生じます。
Q. 措置命令が減っているなら対策は不要ですか
A. いいえ。措置命令の件数減少は監視の緩和を意味せず、消費者庁の調査は継続しています。行政指導や確約手続のリスクを踏まえ、自主是正の体制整備が引き続き必要です。
Q. No.1表示の根拠として何を準備すればよいですか
A. 比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応という消費者庁の4要件を満たす調査データが必要です。実利用者を対象とした第三者調査の記録を保管しておくことが実務上有効です。
📋 ※本記事は一般的な情報提供を目的としています。No.1表示には適切な調査に基づく根拠が必要です。詳しくは専門家にご相談ください。
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