No.1調査

No.1調査で学ぶ士業の時点No.1と累計No.1

下半期に入り、来年度の予算策定や採用計画の立案を進める士業・コンサルティング事務所は多いのではないでしょうか。この時期こそ、No.1調査を活用したブランディングと採用強化を見直す好機です。しかし過去の措置命令事例を振り返ると、「時点No.1」と「累計No.1」の使い分けを誤ったことが問題視されたケースが少なくありません。本記事では、その教訓を踏まえた実践的な注意点を整理します。

措置命令事例に見る「時点No.1」表示の落とし穴

消費者庁の措置命令事例では、特定の調査時点でしか成立していなかった「No.1」の結果を、あたかも恒常的な事実であるかのように表示し続けたケースが指摘されています。士業・コンサルティング業界でも、「顧問先満足度No.1」「相談件数No.1」といった表示を一度取得すると、調査から数年経過しても同じ訴求を使い続けてしまう事務所が見受けられます。

消費者庁の『No.1表示に関する実態調査報告書』(2024年9月)が示す4要件のうち、特に「④表示内容と調査結果の対応」が問われる典型パターンです。調査時点と現在の表示に乖離があれば、たとえ調査自体は適正でも、表示全体の信頼性が揺らぎます。時点No.1を使う際は、調査実施年月を明記し、定期的に再調査を行う運用ルールを事前に定めておくことが重要です。

「累計No.1」表示で見落とされがちな比較対象の設定

累計No.1は「開業以来の相談件数」「創業からの契約社数」など、長期的な実績を訴求する際に使われます。一見客観的な数字に見えますが、比較対象の選定を誤ると問題になり得ます。例えば、自社と規模も業態も異なる事務所を並べて「業界No.1」とするのは、4要件の「①比較対象の適切な選定」に反するおそれがあります。

  • 比較対象は自社と同等の事業規模・サービス領域か
  • 「業界」の定義が恣意的に狭められていないか
  • 累計期間の起算点が読者に誤解を与えないか

累計No.1は時間軸が長い分、途中でサービス内容や事業所数が変化していることも多く、「その実績は今の体制で達成されたものか」という視点でのチェックが欠かせません。

時点No.1と累計No.1、どちらを選ぶべきか

士業・コンサルティングの現場では、採用ブランディングと顧客向けブランディングで求める訴求が異なります。以下の比較を参考に、自社の目的に合った選択をおすすめします。

観点 時点No.1 累計No.1
訴求の強さ 直近の勢いや満足度を示しやすい 長年の信頼と安定性を示しやすい
リスク 表示の陳腐化に注意が必要 比較対象・起算点の設定に注意が必要
採用強化との相性 「今伸びている事務所」感を訴求 「安定した実績ある事務所」感を訴求
再調査の必要性 高い(定期更新が前提) 累計データの継続的な検証が必要

採用強化を目的とする場合、求職者は「安定性」と「将来性」の両方を見ています。時点No.1と累計No.1を組み合わせ、根拠となる調査データを併記することで、実態に即した説得力ある訴求が可能になります。

実利用者調査に基づくNo.1調査の設計ポイント

士業・コンサルティングは無形サービスであるため、イメージだけで「満足度No.1」を訴求しがちですが、当組合はイメージ調査に依らない設計を徹底しています。以下は設計時に確認すべきチェックリストです。

  1. 調査対象者は実際に契約・相談実績のある顧客に限定しているか
  2. 調査方法(Web調査・電話調査など)に偏りがないか公平性を確認しているか
  3. 比較対象となる競合事務所の選定基準を明文化しているか
  4. 調査結果と広告表示の文言が一対一で対応しているか

これらは消費者庁の4要件そのものであり、士業・コンサルティング特有の「顧問契約の継続率」「相談後の解決満足度」といった指標にも応用できます。実利用者を対象とした顧客満足度調査を軸にすることで、行政調査にも耐えるNo.1表示の土台が整います。

採用強化における「日本初」「業界初」表示の注意点

下半期は採用計画の立案時期でもあり、求人広告や採用サイトで「日本初のオンライン相談体制」「業界初のAI活用サービス」といった先行性訴求を検討する事務所も増えます。しかし先行性表示は、他社が同様のサービスを既に提供していないかの検証が不可欠です。表示前に業界内の類似サービスを調査し、先行性の根拠を客観的に整理しておくことで、後になって撤回を迫られるリスクを避けられます。

まとめ

時点No.1と累計No.1は、それぞれ異なる強みとリスクを持つ表示手法です。措置命令事例が示すように、調査時点の明記や比較対象の適切性、実利用者を対象とした公平な調査方法は、いずれも消費者庁の4要件に直結する重要ポイントです。下半期の予算・採用計画の見直しに合わせ、自社のNo.1表示が現状の実態と対応しているか、今一度点検することをおすすめします。根拠あるNo.1調査の設計は、ブランディングと採用強化の両輪を支える確かな土台となります。

よくある質問(FAQ)

Q. 時点No.1と累計No.1はどちらを使うべきですか

A. 目的次第です。直近の勢いを示すなら時点No.1、長年の信頼を示すなら累計No.1が適していますが、いずれも調査時点の明記や比較対象の妥当性確認が欠かせません。

Q. 士業のNo.1調査で特に注意すべき点は何ですか

A. 無形サービスのためイメージ調査に頼りがちですが、実際に契約・相談実績のある利用者を対象とした調査でなければ、表示の根拠として不十分になるおそれがあります。

Q. 過去に取得したNo.1表示を使い続けても問題ありませんか

A. 調査時点から時間が経過し実態と乖離している場合、表示内容と調査結果の対応が問われる可能性があります。定期的な再調査と表示の見直しをおすすめします。

この記事の監修

岩城 雄介(帝国ナンバーワンリサーチ組合 代表)

消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月)の4要件に準拠した第三者検証型No.1調査を専門とする。イメージ調査に依らない実利用者調査の設計を通じて、行政調査にも耐える「防御可能なNo.1表示」を支援。

📋 ※本記事は一般的な情報提供を目的としています。No.1表示には適切な調査に基づく根拠が必要です。詳しくは専門家にご相談ください。

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