2026年8月6日、写真加工アプリ「SNOW」の運営2社に対し、消費者庁からステルスマーケティング(ステマ)告示違反による措置命令が発出されました。SNOW 景品表示法 措置命令のニュースは、インフルエンサー施策を行う多くの企業にとって他人事ではありません。本記事では、この事案を手がかりに、広告表示の適正化とNo.1表示の信頼回復について、実務目線で解説します。
SNOWの措置命令が示す問題点とは
今回の措置命令の核心は、インフルエンサーに商品・サービスを紹介させる際、それが「事業者の広告である」ことを消費者が認識できる形で明示されていなかった点にあります。ステマ告示は2023年10月に施行され、「事業者が自ら行う表示であるにもかかわらず、第三者の表示であるかのように誤認させる表示」を規制対象としています。SNSでの投稿に「PR」「広告」といった明示がない、あるいは表示があっても目立たない位置・小さな文字で分かりにくいといったケースは、措置命令の対象になり得ます。今回の事案は、大手アプリという知名度の高いサービスであったこと、複数のインフルエンサーを起用した組織的な施策であったことから、業界全体に強い警鐘を鳴らす結果となりました。マーケティング担当者は、自社のインフルエンサー施策が「第三者の自発的な感想」に見えていないか、今一度点検する必要があります。
ステマ規制とNo.1表示規制の共通点
ステマ規制とNo.1表示規制は、一見異なるテーマに見えますが、根底にある考え方は共通しています。それは「消費者に誤認を与える表示を排除する」という景品表示法の基本理念です。ステマは「表示の主体」を偽ることで誤認を招き、根拠のないNo.1表示は「表示の中身」を偽ることで誤認を招きます。いずれも、消費者が正しい情報に基づいて商品・サービスを選択する権利を侵害する点で共通しており、消費者庁の監視の目は年々厳しくなっています。No.1表示についても、2024年9月に公表された「No.1表示に関する実態調査報告書」を踏まえ、根拠のない「顧客満足度No.1」「売上No.1」といった表示への措置命令が相次いでいます。ステマ規制の強化は、企業の広告表示全般に対するチェック体制の甘さが露呈するきっかけにもなり得るため、No.1表示を含む広告表示全体の総点検が求められる局面といえます。
消費者庁が求める4要件とNo.1表示の根拠
No.1表示を適法に行うためには、消費者庁が示す4つの要件を満たす調査設計が不可欠です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 比較対象 | 調査対象となる商品・サービスの範囲が客観的で恣意的でないこと |
| 調査対象者 | イメージ調査ではなく、実際の利用者を対象としていること |
| 調査方法 | 調査の実施方法が公平・客観的で、恣意的なサンプル抽出でないこと |
| 表示との対応 | 調査結果と実際の表示内容が正確に対応していること |
特に見落とされがちなのが「調査対象者」の要件です。利用経験のない人に「イメージで良いと思う会社」を尋ねるだけの調査は、根拠として認められにくくなっています。実際に商品・サービスを利用した人を対象に、適切なスクリーニングを行った上で調査を実施することが、行政調査にも耐えるNo.1表示の第一歩です。
インフルエンサー施策とNo.1表示を組み合わせる際の注意点
SNSマーケティングとNo.1表示を組み合わせる企業は少なくありません。しかし、この組み合わせには二重のリスクが潜んでいます。ひとつは前述のステマリスク、もうひとつは根拠のないNo.1表示を拡散させてしまうリスクです。たとえば「利用者満足度No.1」と謳う商品をインフルエンサーに紹介してもらう場合、その表示の根拠が曖昧なままSNS上で拡散されると、短期間で多くの消費者に誤認が広がり、後から訂正することが極めて困難になります。安全に施策を進めるためには、次のようなチェックが有効です。
- インフルエンサー投稿に「PR」「広告」等の明示があるか
- 紹介するNo.1表示に第三者機関による調査根拠があるか
- 調査時期・調査対象が現在の商品・サービス内容と乖離していないか
- 投稿内容が調査結果の範囲を超えた誇張表現になっていないか
これらを事前に確認するフローを社内に整備しておくことが、炎上や措置命令のリスクを大きく下げます。
信頼回復のための実務ステップ
措置命令を受けた企業、あるいは自社の広告表示に不安を感じる企業が信頼を回復するには、場当たり的な対応ではなく段階的な見直しが必要です。以下は実務上の一般的な進め方です。
- 現行の広告表示・No.1表示・インフルエンサー施策の棚卸しを行う
- 表示の根拠となる調査データや契約書類を確認する
- 4要件に照らして不足している部分を洗い出す
- 第三者機関による調査設計・再検証を実施する
- 表示方法(明示の位置・文言・フォントサイズなど)を見直す
- 社内ガイドラインを策定し、継続的なモニタリング体制を構築する
特に第三者機関による検証は、社内だけで判断すると恣意性を疑われやすい部分を客観的に補強する手段として有効です。イメージ調査に依らず、実利用者を対象とした調査設計を行うことで、行政調査にも耐えうる根拠を積み上げることができます。
まとめ
SNOW 景品表示法 措置命令の事案は、ステマ規制とNo.1表示規制がいずれも「消費者に誤認を与えない表示」を求めているという共通点を改めて浮き彫りにしました。インフルエンサー施策を行う企業も、No.1表示を活用する企業も、根拠と表示方法の両面から自社の広告を点検することが信頼回復への近道です。比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応という4要件を意識した調査設計と、専門家による第三者検証を組み合わせることで、リスクを抑えながら説得力のあるブランディングを実現できます。
よくある質問(FAQ)
Q. ステマ規制とNo.1表示規制はどう関係していますか。
A. どちらも景品表示法に基づき「消費者に誤認を与える表示」を禁止する点で共通しています。表示の主体を偽るのがステマ、表示の中身を偽るのが根拠のないNo.1表示です。
Q. インフルエンサー施策で最低限守るべき点は何ですか。
A. 投稿が事業者の依頼による広告であることを、消費者が一目で認識できるよう「PR」「広告」等を明示することが基本です。位置や文字サイズにも配慮が必要です。
Q. 既存のNo.1表示に不安がある場合、何から始めるべきですか。
A. まず現行表示の根拠資料を棚卸しし、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4要件に照らして不足点を確認することから始めるのが実務的です。
📋 ※本記事は一般的な情報提供を目的としています。No.1表示には適切な調査に基づく根拠が必要です。詳しくは専門家にご相談ください。
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